大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成10年(ワ)25323号 判決 1999年1月13日

主文

一  被告は、原告に対し、金三〇万二五三二円及びこれに対する平成一〇年一一月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

理由

【事実及び理由】

第一  請求

主文と同旨(付帯請求は、訴状送達日の翌日からの遅延損害金請求)

第二  事案の概要

本件は、区分所有建物の管理組合である原告が、区分所有者である被告に対し、被告から専有部分を賃借した者の行為によって生じた損害について、管理規約に基づいて、損害賠償を請求した事案である。

一  請求原因

別紙のとおり。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因一の事実は認める。

2 請求原因二の事実について

(一) 同1の事実は不知。

(二)(1) 同2(一)の事実のうち、被告が自らの責任の範囲外であると考えていたことは認めるが、その余は否認する。

(2) 同2(二)の事実のうち、訴外乙山が平成九年五月に実家に戻ったことは認めるが、その余は不知。

(三) 同3の事実は否認する。

3 請求原因三の事実について

(一) 同1の事実のうち、管理規約一九条一項の規定の存在は認めるが、その余は否認する。

(二) 同2の事実は否認する。

第三  判断

一  請求原因一(当事者)の事実は、当事者間に争いがない。

二  請求原因二(訴外乙山による加害行為及び損害の発生等)の事実について

1 同1の事実は、《証拠略》により認めることができる。

2(一) 同2(一)の事実のうち被告が自らの責任の範囲外であると考えていたことは、当事者間に争いがない。同(一)のその余の事実は、《証拠略》により認めることができる。

(二) 同2(二)の事実のうち訴外乙山が平成九年五月に実家に戻ったことは、当事者間に争いがない。同(二)のその余の事実は、《証拠略》により認めることができる。

3 同3(一)の事実は、《証拠略》により認めることができる。

同(二)の事実は、《証拠略》により認めることができる。

三  請求原因三(被告の責任原因)の事実について

1 同1の事実のうち管理規約一九条一項の規定の存在は、当事者間に争いがない。同1のその余の事実は、《証拠略》により認めることができる。

2 訴外乙山がむやみに警報機を鳴らしたり、△△△号室の玄関扉をバットで叩いたりする行為が使用細則一条後段(22)に違反するものであることは明らかである。

そして、前記二1及び2(請求原因二の1及び2)の事実経過に照らすと、被告は、自己の専有部分の賃借人である訴外乙山に右使用細則の定める禁止事項を遵守させなかったものと認めることができる。したがって、被告は、管理規約一九条七項の規定に基づいて、訴外乙山の右行為によって生じた前記二3の損害(請求原因二3の損害)について賠償の責任を負う。

四  よって、本訴請求は理由がある。

(裁判官 石井 浩)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例